熱はないのに、痰が出て咳が長引く

熱はないのに、痰が出て咳が長引熱はないのに痰をともなう咳が長引く場合、気道粘膜の炎症や気道の過剰な分泌物などを排出しようとしていることから起こっていると考えられます。
こうした症状が起こる原因には、感染症、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが考えられますが、肺炎や肺結核、肺がんなど深刻な病気の可能性もあります。

こんな場合は早めの受診が必要

熱がなくて痰や咳が続く場合、呼吸器科の受診が必要です。
特に、呼吸しにくい、息苦しくて眠れない、横になれないといった症状がともなう場合は、すぐに呼吸器科を受診してください。これまで呼吸器の病気にかかった経験がある、糖尿病・心臓病・膠原病の持病がある方は早めの受診を心がけてください。

また、下記のような症状をともなう場合はできるだけ早く呼吸器科を受診しましょう。

風邪の後に咳と痰の症状だけが続く

風邪をひいて、咳と痰の症状だけが長く残ってしまうことがあります。風邪の後で気道粘膜のダメージがまだ残っている感染後咳嗽、風邪の炎症が気管支まで広がって起こる気管支炎、副鼻腔がウイルスや細菌に感染するなどによって炎症を起こしている副鼻腔炎が疑われます。
炎症を放置してしまうと慢性化して治しにくくなるため、数日経過しても改善しない・悪化する場合にはできるだけ早く受診しましょう。なお、副鼻腔は額や頬(目の下)にあるため、炎症によって顔や頭に痛みや重苦しい感じを生じることもあります。こうした症状がともなう場合も早めの受診が必要です。

ある日突然、咳と痰の症状がはじまった

ある日突然、咳と痰の症状がはじまった4咳と痰の症状が突然はじまった場合には、気管支喘息が疑われます。発作的な咳や痰の症状が現れますが、ゼーゼー・ヒューヒューという喘鳴をともなうこともあります。また、夜から朝方にかけての時間帯に咳が出やすい場合は、気管支喘息の可能性が高いと言えます。気管支喘息は、ウイルスや細菌による感染、アレルギー、ストレス、遺伝などの要因から発症します。
気管支喘息は自然治癒が難しく、放置すると悪化しやすい傾向があるため、適切な治療によるコントロールが必要です。特に、息苦しい・横になると呼吸しにくいといった症状がある場合は、できるだけ早く呼吸器科を受診してください。

慢性的に咳や痰の症状が続いている

痰をともなう咳の症状が2~3週間以上続いている場合は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が疑われます。喫煙によって発症するケースが多いのですが、排気ガスや遺伝的な要因なども発症に関わっています。慢性閉塞性肺疾患(COPD)では呼吸の機能自体が低下してしまうため、痰を出しにくくなりやすい傾向があります。適切な治療を受けることが重要な病気ですし自然治癒は困難ですから、症状に気付いたら早めに受診してください。なお、息苦しさなど酸素不足の症状がある場合には、できるだけ速やかに呼吸器科を受診してください。

痰と咳の症状を緩和するために

適切な治療を受けても咳や痰といった症状がすぐに消えるわけではないため、痰が絡んでつらい、咳が続くといった際の対処法や予防法を覚えておきましょう。なお、きちんと受診して治療を受けていないと、こうした対処法や予防法を行っても悪化しやすいため必ず受診してください。

腹式呼吸を心がける

横隔膜を動かすことで楽に呼吸ができるようになります。

呼気は口をすぼめて出す

息を吸う時には鼻から、吐く時には口を小さくすぼめます。口をすぼめると肺から出ようとする空気の圧で気管支が広がり、楽に呼吸ができるようになります。

湿度を上げる

室内では加湿器を使い、外出時にはマスクをかけると湿度を保てるため、のどが楽になります。また、湿度を保つことで痰も出しやすくなります。

水分補給

水分が不足すると痰の粘度が上がって排出しにくくなります。適度な水分補給を心がけてください。

適度な運動を習慣付ける

有酸素運動を習慣的に行うことで肺の機能の維持や改善が見込めます。

禁煙・禁酒

タバコは炎症を悪化させますので、咳や痰の症状がある場合には禁煙が必要です。また、飲酒は脱水を起こすため、水分が不足して痰の排出が難しくなります。症状を悪化させないためにも、禁煙・禁酒は不可欠です。

市販薬の服用

原因がわからないまま服用すると逆効果になってしまう場合もあります。すぐ受診できずに数日だけ服用する場合にも、必ず薬剤師に相談してから使用してください。

放置によるリスク

痰が絡む、咳が出るといった症状はご自分にとっても不快ですし、周囲の方にも不安を与えます。感染によるものだった場合には、周囲にうつしてしまう可能性もあります。慢性疾患の場合には重症化すると生活やお仕事に支障が生じ、酸素が十分に供給されないことで健康にも悪影響を与えます。また、肺がんなど深刻な疾患が隠れている可能性もゼロではありません。痰や咳の症状があったら、早めに呼吸器科を受診して原因を確かめ、適切な治療を受けるようにしてください。

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